土曜日は揃わない7を必死に揃えようとして朝と昼と夕方が奪われていく
たった140円が惜しいからじゃないのだけど気がつくと僕はJR中野駅からJR高円寺駅へと線路沿いを歩いている
自転車とおじさんと鼻ピアスが僕を追い抜いていく
黄色の電車とオレンジの電車は交互に僕を抜いていく
高架下の壁に描かれた落書きはいったい何の絵なのか
よく見るとアルファベットのEに見えるから大学のころ付き合っていたあの子を思い出した
何になりたいのかわからなかった僕はよく彼女に叱られていた
今の僕にはそれなりにそれなりなそれなりの毎日がある
それなりの何かにはきっとなれている僕のことを彼女は褒めてくれるだろうか
カレーを作ると言って一緒に入った東急ストアの明かりは先ほど僕を追い抜いた鼻ピアスが交番でおまわりさんに怒鳴っていることに気づかないほどにまぶしい
だから今、僕から涙が流れているのは明かりのまぶしさで瞼をゴシゴシしすぎただけなんだ