タメ口にまつわる考察
実は自分はもともと体育会系出身なんで、敬語には厳しいというか、わりといつでも敬語を使ってしまう人間であります。
そんな自分自身がホントは嫌い。なんだかいかにも日本人の典型というか。タメ口に対して反応してしまうのが恥ずかしいんですよ。
でも、気になっちゃうんですよね。
1.年齢が上の人に向かってタメ口
2.お客さんに向かってタメ口
3.初対面の人に向かってタメ口
敬語を使わずにタメ口を使っている人を見かけて「違和感」があるのは大きくわけてこの3つかと思います。
これはぼくが敬語を使われなかった場合だけでなく、そういうシーンを見かけても、体育会系出身のカタブツゆえ、なんとも言えない気持ちになってしまいます。はっきり言えば、ムカっとする!
でも、最近、気がついたんです。
そのタメ口が「相手にフレンドリーにしたい気持ちからくるものなのか」が大事なんだと。
例えば、タクシーに乗るとよく上の2と3に該当する運転手さんに出くわします。敬語は使わずに「今日は残業?大変だねー」「今日道混んでるから抜け道使っていい?」「はい、お釣り。ありがとねー」とネイティヴタメ口を話す人は多いものです。
しかし、人にもよりますが、そこに違和感や怒りは感じません。お客や初対面というのを超えた「仲良く話したい」という気持ちが伝わってくるからでしょうか。
(ぼくが歳をとって、自分より若い人、つまり1のパターンになったらまたべつの気持ちになるのかもしれないけど。あー、小さい人間だな)
とにかく、タクシー運転手だけじゃなく、街の八百屋さんの「安いよ、安いよー。」とか魚屋さんが「今日はいいカンパチ入ってるよ」とか、バーのマスターが「飲み物は?ビール?あいよ」なんかも同じ。
意外と「会話」が大切な職業の人のタメ口は自然なものです。
この間、税務署に行った時の話。
ぼくの前でおじいちゃんがいろいろと職員に聴いてるんですが、あきらかに年下のおばさんが(おじいちゃん70歳、おばさん50歳くらい?)、えらそうにタメ口なんです。
「書類はそっち!」
「あー、違う違う」
「ここ、ちゃんと記入してね」
もう、上に書いた1、2、3のすべてのパターンを兼ねている「キングオブタメ口」で、聴いているだけで腹が立つ。
それはフレンドリーにしたいとか、高齢者が相手だから聞き取りやすいように的確に、なんて理由はない。とにかく「邪険」にしてるのが周りにも伝わってくるタメ口で。
おかっぱ頭のおばさん。
彼女は何者なのか。こんなひどい接客を公務員なら許されるのか。カフェでもレストランでも洋服店でも保険屋さんでも、もっといかなるお店でも、こんな態度で接客してたら、クレームの嵐ですよ。
それが役所ということで、わりと当たり前になってしまっている。注意する上司もいない。
なんなんだ、こいつは。
そんな怒りが爆発したこともあり、そのおかっぱ頭のおばさんに向かって、
「書類どこ?はやく、急いで」
「おー、サンキュー」
「ここって判子いるの?どっち?」
30代のぼくは勇気を出して言いました。普段、敬語を使う人間なので、こうして無理にタメ口を使うのは、こっちとしても嫌というか、パワーを使うんです。
そしたらおばさんは露骨に嫌そうな顔をして
「こちらですけど!」
「はい、ここですけど!」
「いりますけど!」
敬語だけど、やたら「けど」の連呼。
たぶん、その「けど」には「……けど、なんで私に対してタメ口なのよ?」という怒りが込められていたんだと思います。
なんなんだ、本当に。
別にお客様は神様とは思わないけど、気持ちよく接客するのはサービス業の基本だろうし、むしろ民間の企業よりも役所のほうが、利潤を追求しないぶん、多少の効率性を無視してでも、手厚いサービスを心がけるべきなのではないでしょうか。
仮にタメ口でもいいけど、それはフレンドリーさ、つまり優しさからくるものじゃなきゃいけない。
あのおばさんが、若造の見ず知らずのぼくにタメ口を使われたことで、乱暴なタメ口を使われることが嫌なことなんだと気づいて、心を入れ替えてくれれば、と今は願っています。
友達が作ったオススメサイトのご案内