クレーマーが苦手だ。
苦手というのは、まったく理解できないから。なぜ他人のことでそんなに熱くなれるのだろうか。
ある意味、尊敬する。
例えば、買った商品が壊れていて取り替えてほしい、と言って怒るのはクレーマーではないと思う。ごくごく当たり前のこと。(まぁ、僕は怒らないけど)
わからないのは、買ってもいないし買うつもりもない商品やサービス、さらにはエンターテイメントについて文句を言い、実際にクレームを入れる人。
買わなきゃいいじゃん、見なきゃいいじゃん、とは言えない勢い。
プロのチクり屋として恐れられていた山下さんの話
小学生の頃を思い出す。いつも山下さんは怒っていた。
「先生、田中くんが授業中に寝てました」
「先生、田中くんが授業中に落書きしてます」
「先生、田中くんが授業中に鼻クソ食べてます」
山下さんがチクるたび、もうほっといてあげなよ、とずっと思っていた。
それよりお前のほうが、田中くんのことばっか気にして授業聞いてないじゃんとは言わなかったけど。
おそらく山下さんにとっては、田中くんが悪いことをしていると指摘することのほうが、授業なんかよりももっと大切な「正義」だったのだろう。
それが僕には理解できなかったし、今でもよくわからない。
大人になっても「先生、田中くんが授業中に鼻クソ食べてます」を続けている人はたくさんいる
気になるのは、なぜそこまで他人の言動に熱くなれるのか、いうこと。
田中くんというある意味「邪悪」な存在がいること自体が許せなかったのか。
それとも悪いことをする田中くんを指摘することで、自分が先生に認められたかったのか。
はたまた本当に田中くんのせいで本当に授業に集中できなかったのか。
もしくはただ暇だったのか。
……クレーマーたちの本当の気持ちが今すごく知りたい。
(ちなみにその田中くんというのは今では大手メーカーに就職してバリバリのエリートサラリーマンになっている。山下さんは美容師見習いをしていたらしいが、いまは何をしているかは知らない)