NEMYsお悩み相談室
投稿ネーム・paru君のママさん
今日はうちの息子についての悩み相談です。
息子の宇多田ヒカル嫌いがひどく、どんなに聴かせようとしても「イヤイヤ」と言って泣き出す始末です。
「みんな聴いているよ、イヤイヤ言っているのはparu君だけだよ?宇多田ヒカルの8年半ぶりにリリースされた新アルバム『Fantome』聴いてごらん?名盤だよ?椎名林檎とのコラボ曲も収録されてるよ?」
と優しく諭しても、一向に聴こうとせず、母親として育て方が悪かったのかと悩む毎日です。
夫に助けを求めても「そのうち聴くだろ。好きにさせておけ」と完全な育児放棄モード。
ママ友のアドバイスから、試しに大好きなヒカキンのyoutube動画を見せながら宇多田ヒカルの曲ををまぶしてみたものの、「今回のヒカキンは楽しくない!」と言ってすぐに動画を消してしまいました。
意を決して、どうして宇多田ヒカルが嫌いなのかを聞いてみると、
僕は別に宇多田ヒカルが嫌いなわけじゃなく、ただ苦手というか。
宇多田ヒカルの曲も歌詞も歌声も顔もどうしても好きになれないんだ。
みんなが良いというのはわかるし、それを否定する気もない。
でも、ぼくはどうしてもダメなんだ。
まず曲のメロディが僕には合わないし、僕の人生とは別の場所にあるところから聴こえる気がする。歌詞もそう。共感できないし、憧れたりもできない。つまり感情が動かされない。何を言っているのかがわからない。
全然知らない人の知らない話を内容がわからないまま延々と喫茶店で聞かされているような感覚。
歌声もまったく心地良くなくて、顔も苦手。話し方も嫌。
とはいえ、別に宇多田ヒカル本人が嫌いなわけじゃないし、たぶん会ったら良い人なんだろうけど、そもそも僕は会うことはないし、会いたいとも思わない。だから宇多田ヒカルさんが嫌いなのではなく、宇多田ヒカルという歌を歌う存在が嫌いなの。
だけど、それを友達に話すと「お前は全然わかってない!」「ちゃんと聴いてないからそんなことが言えるんだ!」「人間として終わってる!」と、みんな怒り出すんだ。
ぼくは別にみんなが好んで聴くことに対して文句はない。ただ、ぼくは、ぼくだけはどうしても宇多田ヒカルが聴きたくない。
宇多田ヒカルが素晴らしいアーティストなのは知っている。でも、ぼくには合わない。
なのに、友達はみんな、「そんなことだからお前はダメなんだ」「このままじゃ結婚できない」「この素人童貞が!」と真剣にぼくのことを怒る。それがぼくにはわからない。
もちろんぼくだって、宇多田ヒカルを好きになろうと何度か聴いたことはある。だけど、「Movin on without you」のyouも「Addicted you」のyouも「花束を君に」の君も、それはぼくのことじゃない。だれか別のだれかのために作られいて、それは多くのみんなに当てはまるのかもしれない。でも、ぼくにではない。
例えば、バースデーケーキがあったとする。みんながぼくの誕生日のために買ってくれたバースデーケーキ。でも、お祝いメッセージのプレートにはぼくじゃない別のひとの名前が書かれている。食べたいと思う?ぼくは何度か我慢して食べた。でもやっぱり美味しくない。
みんなにとっては美味しいものでも、ぼくはどうでしても宇多田ヒカルが嫌いなんだ!
……こんなワガママを言って、paruくんはいつも宇多田ヒカルを聴こうとしません。
もうparuくんも30歳を過ぎ、あまり過保護に育てるのもどうかとは思うのですが、少なくとも宇多田ヒカルの良さがわかるくらいの良識ある大人になってもらいたいという一心で必死に育ててきたつもりです。
宇多田ヒカルの良さもわからせてあげられない私は母親失格でしょうか。