言葉のイメージや響きの強さというのは万国共通なのか、どんな言葉でも力強い言葉はカッコいいし、柔らかい言葉はなんとなく優しいもの。
しかし、同じ意味でも微妙にカッコよさは違う。
日本語vs英語、カッコイイ単語の勝敗をつけてみようと思う。
ちなみに僕はまったく英語は話せないので、あくまでネイティヴな日本人としてのジャッジとなることは承知の上で読み進めてほしい。
第一試合「ジャスティス」vs「正義」
いきなり、どちらも甲乙つけがたい名勝負。
ディス イズ ジャスティス!
これが正義だ!
どちらも痺れるほどカッコイイ響きを兼ね備えているが、正義の持つ「まさよし」感が若干のマイナスポイント。
ジャスティスの勝ち!
第二試合「フォース」vs「武」
スターウォーズの影響もあり、フォースにはクールなイメージが強いが、どこかスタイリッシュすぎる。そもそもスターウォーズにおけるフォースの訳は理力で、荒々しさが足りない。
もしもフォースと武が殴り合ったなら、きっとボロボロになりながらも武が勝るだろう。
武の勝ち!
第三試合「パラドックス」vs「矛盾」
見た目はどちらも不思議なカッコよさを持つが声に出してみれば自ずと勝敗は明らか。
パラドックス!
何度でも叫びたくなる。いっぽう、矛盾は見た目の強面感のわりに「むじゅん」と読ませるマヌケさ。これこそが矛盾している。
パラドックスの勝ち!
第四試合「カオス」vs「混沌」
今やビジュアル系バンドが曲のタイトルに使いそうな言葉ナンバー1と言っても過言ではないカオス。しかし、いかんせんシンプルすぎる。
本来なら「ダブド」みたいな響きであるべきなのに濁点が1つもないのは正直がっかり。
それに比べてドロドロ感がたっぷりな混沌は字面を見ているだけで頭の中がグチャグチャにされそうな恐ろしさを持つ。
混沌の勝ち!
第五試合「ウルトラヴァイオレット」vs「紫外線」
これは明らかなミスマッチ。世界チャンピオンを目指す元不良のボクサーと東大を目指すガリガリな理系男子のケンカを見せられているよう。
ウルトラヴァイオレットの勝ち!
第六試合「コメット」vs「彗星」
コメットの丸みを帯びた情けなさとは対称的な彗星が持つ鋭さ。特に彗の字は踏んだら絶対に痛い。たぶんレゴを踏むより痛い。このトゲトゲしさよ。
彗星の勝ち!
第七試合「クレイジー」vs「狂気」
ここがアメリカ、例えばノースキャロライナだったら結果は違っただろう。しかし舞台は日本の東京、いやトキオである。
もはや日本ではクレイジーという言葉は、「ゴナ」という虫に寄生されてしまい力を失ってしまった。雪が降る街並み。どこがいったいクレイジーなのだろう。
狂気の勝ち!
第八試合「ブラッド」vs「血」
好勝負。一見するとブラッドだが、血という字の禍々しさも捨てがたい。
こういう時はお互いを入れ替えてやれば答えは出てくる。
ブラッドオレンジ→血オレンジ
献血→献ブラッド
ほらね。献ブラッドのボランティア精神を超越するカッコよさ。お菓子食べ放題やマンガ読み放題だからじゃない、誰かの役に立ちたいわけでもない、O型が足りてない?俺はAB型だけどそんなの知らない。俺は俺であるために献ブラッドに今日も向かうんだ。
ブラッドの勝ち!
第九試合「エージェント」vs「代理人」
誰もが主役になれる国・アメリカと、あくまで主君への奉公に徹する国・日本。代理人と「あっしは引き立て役ですから」というスタンスに隠されたプロフェッショナルな仕事の流儀。渋い!
と無理矢理にでもこじつけようとしてはみたものの、やはりカッコよさという点ではエージェントに軍配。
エージェントの勝ち。
第十試合「エターナル」vs「永遠」
最後の試合にふさわしいカッコよさは抜群な両者は互いに譲らずドローかと思われたが、試合が終わり互いの健闘を讃えエターナルに永遠が手を差し伸べた時、本当の勝者は決まった。
永遠はエターナルに言う。
「キミとの戦いは永遠(とわ)に続くだろう」
エターナルは戸惑う。
「ト……ワ?」
永遠と書いて「とわ」と読ませる最高のカッコよさ。エターナルと書いて「とわ」と読ませることはできない。
エターナルは笑った。
「トワ、キサマノ勝チダ」
永遠の勝ち!
結果は引き分けイーブン
……以上が「日本語vs英語カッコイイ単語10番勝負バトル」の結果であるが、奇しくも5勝5敗の引き分けとなった。
はたして、この戦いに何か意味があったのかと問われても、まったく答えが見つからない。
しいて言えば、例えばタトゥーを入れたくなった時、どっちがカッコいいかな?と迷った際の参考にしてみれば、「代理人」と入れずにすむなど、そこそこ役に立つかもしれない。